2012-01-01から1年間の記事一覧

多数決の何が悪いか(おまけ)

(出来る限り、前編、後編を見なくても読めるように書きましたが、気になったらそちらも読んでみてください。) このシリーズをブログにまとめるきっかけの1つは、「だれからも文句のでない投票方式」という日経サイエンスの過去記事でした(2013/1/2 16:38…

多数決の何が悪いか(後編)

(「多数決の何が悪いか(前編) - 物理学と切手収集」の続き) 前編では、多数決以外の選挙方式の2つ、2回投票制とIRVの紹介をして、民主主義での選挙の目的から考えて、IRVが多数決よりも優れていると思われる事を書きました。今回は、IRVの問題点とされて…

多数決の何が悪いか(前編)

11月にアメリカ、12月に日本の選挙がありましたが、その選挙の方法について思うところがあるので一度まとめて書いておきます。選挙が終わってから書いているので、結果に不満だからか、というとそういうわけでもなく*1、一般論として以前から考えている事で…

Daniel Kahneman, "Thinking, Fast and Slow"を読んで

次にブログで本の話を書くならこれだな、と思っていた本の和訳が出たので、紹介しておきます。読んだのは英語の方で、翻訳の保証は僕からは出来ません。 Thinking, Fast and Slow作者: Daniel Kahneman出版社/メーカー: Penguin発売日: 2012/05/10メディア: …

ブログタイトル変更

私生活の方でトラブルがあり更新が遅れていました。ニュートリノシリーズの最後の2つ(予定)は今月、来月中に書けるはずですが、まずはブログタイトルを変えたのでそのお知らせと解説から。 まず、バークリーにはいなくなるのでタイトルを変えよう、という…

ヒッグスが大事な理由〜ニュートリノがなぜ検出しにくいのか?

ニュートリノがなぜ検出しにくいのか?という疑問に、ヒッグス粒子は深く関わっています。だらだらと書いているニュートリノのシリーズ物で、この話はしておきたいけれど上手く話に組み込めないな、と思っていたものなのですが、ヒッグス粒子と思われるもの…

ニュートリノって何?(リンク集)

シリーズとして書いてるので、リンクを1箇所にまとめておきます。 ニュートリノって何?(その1〜ニュートリノ説誕生) - 物理学と切手収集 ニュートリノって何?(その2〜ニュートリノ発見) - 物理学と切手収集 ニュートリノって何?(その3〜ニュートリノ…

ニュートリノって何?(その5〜ニュートリノの種類)

ここまでの話↓ ニュートリノって何?(その1〜ニュートリノ説誕生) - 物理学と切手収集 ニュートリノって何?(その2〜ニュートリノ発見) - 物理学と切手収集 ニュートリノって何?(その3〜ニュートリノの発生源) - 物理学と切手収集 ニュートリノって何…

ニュートリノって何?(その4〜パリティの破れ)

ここまでの話↓ ニュートリノって何?(その1〜ニュートリノ説誕生) - 物理学と切手収集 ニュートリノって何?(その2〜ニュートリノ発見) - 物理学と切手収集 ニュートリノって何?(その3〜ニュートリノの発生源) - 物理学と切手収集 今回は、ニュートリ…

ニュートリノって何?(その3〜ニュートリノの発生源)

ここまでの話↓ ニュートリノって何?(その1〜ニュートリノ説誕生) - 物理学と切手収集 ニュートリノって何?(その2〜ニュートリノ発見) - 物理学と切手収集 前回のおさらい:ニュートリノは、原子核がβ崩壊したり、電子捕獲をする時に作られて、原子核に…

ニュートリノって何?(その2〜ニュートリノ発見)

前回は、β線のスペクトルが連続的な事から、なぜニュートリノがあると考えられたのか、でした。今回は、ニュートリノを発見しちゃいます*1。 奇跡の年 パウリがニュートリノ説を発表したのが1930年。その2年後、1932年はannus mirabilis(ラテン語で「奇跡の…

ニュートリノって何?(その1〜ニュートリノ説誕生)

昨年末に、ニュートリノが光よりも速く移動したかも、という発表があったのは知っている人も多いかと思います。この話は実験ミスらしい、という事でほぼ決着しているのですが、ニュートリノってそもそも何?という話はあまり無かったように思うので、何度か…

Chess Examやってみた

最近というほど最近でも無いですが、大して詳しくもないのにコンピュータ将棋についてTwitterで語っていたところ、チェス関係の人に何人かフォローされました。それをキッカケに日本のチェス関係のブログをいくつか見ていたところこんな本を見つけました。*1…

書評:「猫のゆりかご」カート・ヴォネガット

学部の頃、私立の高い学費のほとんどを奨学金でカバーしてもらっていたのですが、この奨学金にはドナーの名前が付いていました*1。そして毎年1回、奨学金の寄付をしてくれているドナーと、貰っている学生をみんな集めてのディナーがありました。ドナーとして…

教科書の不確定性(最後におまけ)

先日あった、ハイゼンベルクの不確定性原理*1が破れた、というニュースについて、主に物理学者/物理学徒向けの記事を書きます*2。(アメリカの)大学、大学院で良く使われる教科書での不確定性結果の記述、説明を調べた結果なのですが、最後のおまけは物理…